新しいジャンルを開拓したいです。軽すぎる話と句読点が多い文章と哲学的すぎる語りが苦手です。(20代女性 3,000円)
【選書リスト 吉富副店長より】
この度はご注文まことにありがとうございます。
好きな本として挙げていただいたもののセンスがあまりに見事なもので、ちょっと腰が引けてしまっていますが、まあ私も年だけは重ねてきたわけだしと開き直って、いわゆるジャンル小説を中心に選びました。
①夏への扉/ロバート・A・ハインライン/早川書房 ¥477+税
⇒SFの入門書。冷凍睡眠と猫のお話。タイトルも美しい傑作です。
➁ アリス殺し/小林泰三/創元推理文庫 ¥381+税
⇒早川書房と並ぶSF、ミステリの名門出版社からもなにか1冊、と思い選びました。「クララ(ハイジですね)殺し」「ドロシイ(オズですね)殺し」と続くミステリ・シリーズの第一作。
③向日葵の咲かない夏/道尾秀介/新潮文庫 ¥191+税
⇒ミステリをもう1冊。こちらは相当ダークです。
④壬生義士伝 (上)/浅田次郎/文春文庫 ¥334+税
⑤壬生義士伝(下)/浅田次郎/文春文庫 ¥334+税
⇒時代小説。新選組ものです。浅田次郎といえば涙の押し売りというか、まあ泥臭いイメージですが、この人は本当に上手いし面白い。今まで読んだ本の中でどれが一番面白かったかといえば、私の場合おそらくこれだと思います。
⑥蓬莱/今野敏/講談社文庫 ¥429+税
⇒警察小説。今野敏はとにかく書いては出し書いては出しというイメージですが、他の多作家とはちょと格が違うと思っています。中高年の男性でなくても夢中になれるはずです。
⑦ニューヨーク・シティ・マラソン/村上龍/集英社文庫 ¥100+税
⇒いただいたテーマから「何かハードボイルドな文体のものを」と思ったのですが、中古本でよいものがなく、ならばとこちらを選びました。春樹とは対照的に徹底的に即物的な文体を持つ村上龍が、それこそW村上として絶頂期だった1980年代の作品です。
以上全7冊、期せずして男性作家ばかりとなりましたが、気に入っていただければ幸いです。
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